泌尿器科

ドクターと1対1での診療になりますので、「恥ずかしい」と気兼ねせず何でもお尋ね下さい!

このような症状は腎・泌尿器科へ受診を

泌尿器科に受診をすると痛い検査をされるのでは?と心配かもしれません。
当院では極力痛みを伴う検査は回避するよう心がけておりますのでご安心ください。

泌尿器科の症状

主な泌尿器科疾患

尿路結石症

尿路結石症とは、腎臓の内部や尿管、膀胱、尿道などに結石が出来る疾患で、腰から背中にかけて今まで経験したことないような激痛が生じます。初めての人はあまりの痛さに救急車を呼ぶこともありますが、繰り返したかたは「あ、また結石になってしまったな」という感じです。
腎臓の中で結石が大きくなり、痛みはないけれど血尿が生じたり腎機能を低下させる要因になることもあります。
尿路結石は結石が存在する場所によって腎結石尿管結石膀胱結石尿道結石とも呼ばれます。

原因

結石の原因はシュウ酸結石、尿酸結石、シスチン結石など結石の成分により異なります。
結石の成分としてもっとも多いのがシュウ酸カルシウム結石になります。
ほうれん草、タケノコ、チョコレート、ピーナッツなどにシュウ酸が多く含まれており、食事でのシュウ酸の摂取量が多いと、シュウ酸は体内で代謝されないのでそのまま尿中に排泄されてしまいます。そしてシュウ酸が尿中でカルシウムと結合するとシュウ酸カルシウム結石が作られてしまうのです。
尿管結石は再発が多く、食生活に気をつけていても体質的な素因があり繰り返してしまうかたも多いです。

診断

尿検査で血尿があるか、レントゲン検査で結石が映るか、腹部超音波で腎臓が腫れていないかを見ます。

治療法

結石の大きさが1cm以下の場合、鎮痛剤や結石排出促進剤を用い、結石が自然排出するのを待つことになります。
1か月以上経過をみてもレントゲンで結石の位置に変化がない場合や、結石の大きさが大きい場合は、体外衝撃波砕石術や経尿道的内視鏡手術などの治療が必要であり、手術設備のある病院に紹介させていただきます。

高PSA血症

PSAは前立腺特異抗原、prostate-specific antigenで4ng/mL以上になった場合に「PSAが高い」と言われます。前立腺がんの腫瘍マーカーになります。
PSA高値や前立腺癌について詳しく解説した以下のページもご覧ください。

前立腺癌

前立腺癌は転移しているかどうかで大きく治療方針が変わります。


転移がなかった場合は、年齢や他の合併症の全身状態から、大まかに10年以上の余命が期待されるかどうかで手術や放射線など癌を根治させる治療をするかを決めます。
というのは、前立腺がんは進行の遅いがんですので、余命が短いと思われる患者さんに、合併症の起きうる手術や放射線療法を行うことはデメリットばかり多くなるからです。
前立腺癌の手術は、前立腺全摘術になり、最近はダヴィンチ(Da vinci)と呼ばれる手術支援用ロボットを用いた前立腺全摘術が主流です。ダヴィンチは鮮明な視野で精密な手術ができますが、それでも後遺症で尿失禁になる方が一定数います。
放射線療法は、体外から前立腺全体に放射線を照射し前立腺癌を倒す治療です。放射線治療も進歩していますが、頻尿といった副作用があります。他にも前立腺内に放射線を植え込む小線源治療もあります。
転移のなく10年以上の期待余命がある患者様は、これらの治療法のそれぞれメリット・デメリットを考慮し、設備のある施設にご紹介させていただきます。

一方、80歳以上の高齢者や合併症をお持ちの患者さんには、ホルモン療法をお勧めすることが多いです。
ホルモン療法とは、男性ホルモンを低下させる注射製剤、内服治療を行い、前立腺癌を抑え込む治療になります。癌を根治できるわけでなく、癌と共存していく方法になります。抗がん剤と違い副作用はかなり少なく、ご高齢の患者さんでも安全に行うことができます。

転移がある前立腺癌のかたは、手術や放射線治療の適応はなく、ホルモン療法を行うことになります。前立腺癌は転移のあるステージⅣの患者さんでも5年生存率は約70%程度と良好で、治療の選択肢も増え、現在さらに伸びてきています。定期的な通院によりホルモン療法を継続しつつ、ホルモン療法が効かなくなっていないか(去勢抵抗性前立腺がん化)チェックをしていきます。

膀胱炎・急性前立腺炎

排尿時痛を起こす、最も一般的な病気は急性膀胱炎になります。
急性膀胱炎は、女性に多く、頻尿、血尿、排尿時の痛みが特徴的な症状です。(男性が膀胱炎を起こすことは稀です)尿検査により白血球や細菌が認められることで診断しますが、抗生剤治療で数日以内に完治します。
抗生剤が効かない多剤耐性菌が原因となることがあり、これは尿培養検査をして原因菌を検索し、薬剤感受性検査をしないと分かりません。
高熱や倦怠感、背部痛などを伴う場合には膀胱炎の菌が腎・尿管を逆行し急性腎盂腎炎を併発している可能性があります。腎盂腎炎は敗血症へと重症化するリスクが高いので、速やかに医療機関を受診をしましょう。

男性で排尿時痛をおこす病気には、急性前立腺炎があります。排尿時の痛み以外に、頻尿、会陰部(陰嚢と肛門の間の部位)や下腹部の痛みと不快感があり、発熱を伴うことが多いです。急性前立腺炎に関しても速やかに医療機関(できたら泌尿器科)を受診する必要があります。

慢性前立腺炎

会陰部(陰嚢と肛門の間の部位)から陰嚢、陰茎、下腹部の不快感、排尿時や射精時の疼痛や不快感、残尿感、頻尿などの症状があり、前立腺に慢性の炎症が起こる病気が慢性前立腺炎です。
働き盛りの男性に多い病気です。
長時間におよぶデスクワーク、バイクによる会陰部圧迫、骨盤内の血流うっ滞などが誘引の場合もありますが、原因が特定できないことも多いです。なかなか治りにくい病気で、ストレスや運動不足で症状が悪化したり、再発したりします。
当院では内服薬にて加療します。

膀胱癌

血尿を主訴に受診され、その原因として悪性腫瘍(ガン)の中で最も多いのは膀胱癌(ぼうこうがん)です。
膀胱癌の血尿の特徴は、血尿以外に特に症状のない「無症候性血尿」があります。
膀胱がんのリスクファクターには喫煙歴、男性40歳以上・女性50歳以上、化学薬品や染料を扱う職業歴などがあり、当てはまる方はより厳重に精密検査を受けていただく必要があります。
膀胱癌の多くはいそぎんちゃくのような形でモコモコと隆起するので、腹部超音波でも分かることがありますが、癌が小さい場合や薄べったく広がる尿路上皮内癌(CISといいます)は超音波では分かりづらいです。

自己導尿・尿道留置カテーテル留置

脊髄損傷、脳血管障害、パーキンソン病、糖尿病や前立腺肥大などが原因で尿を出すことができなくなったり、膀胱の中に多量の尿が残存してしまっている場合に適応になります。
膀胱の中に溜まった尿を物理的に排出するための方法は、自己導尿により自分で尿を外に出すか、膀胱にカテーテルを留置するかの2択になります。

自己導尿

自己導尿とは、患者さんもしくはご家族が尿道から膀胱内に細い管を挿入し、尿を体の外に排出する方法になります。
残尿の量に応じて1日3〜4回ほど行います。
始める前に清潔に手技ができるようにご指導します。

尿道留置カテーテル(バルーンカテーテル)管理

尿道カテーテルを留置しずっとつけたままの状態になります。
医療機関で月に1回毎に尿道カテーテルを交換します。
尿道カテーテルは2リットルほど貯まるバッグにつながり、バッグに貯まった尿はトイレに捨ててもらう必要があります。

たま、きんたまが痛い

陰嚢内が痛む病気には、精巣捻転、精巣上体炎、および精巣炎などがあります。

最も緊急を要する病気として、精巣捻転(精索捻転)があります。精巣がそれにつながる精索を軸としてねじれて血管が締め付けられるため血流が途絶し、精巣が壊死する病気です。
思春期前後の青少年に多く,寝ているときに発症することが多いのが特徴です。激しい陰嚢部痛で始まり、次第に陰嚢内容が腫れてきます。発症後6-10時間のいわゆるgolden time(回復可能な時間)を過ぎると、整復(手術あるいは用手的に)されても睾丸そのものが壊死していることが多く、捻転が疑われれば早期に手術を受けていただくのが望ましいと考えられています。

精巣上体炎は、精巣の横にある精巣上体に炎症がおこって腫れることです。超音波検査で、正常な精巣と血液の流れが増加している腫大した精巣上体がみとめられます。
膀胱炎や前立腺炎の細菌が精巣上体に波及してなる場合と、クラミジアや淋菌などの性感染症が悪化してなる場合があります。

たま、きんたまが腫れた

陰嚢が腫れる疾患は陰嚢水腫、精巣腫瘍などがあります。

陰嚢水腫は陰嚢内に水が溜まる病気です。根治するためには1週間程度の入院による手術が必要ですが、針穿刺によって内溶液を吸引したり、吸引後に薬剤を注入して固定するなどの姑息的な治療法もあリます。基本的には悪性の病気ではありません。超音波検査によって簡単に診断がつきます。

精巣の腫瘍は、青壮年期の男子に多く、通常痛みを伴いません。一般的に悪性で、放置すると転移進展し死に至ります。準緊急の手術が必要になります。

血精液症

血精液症とは、精液に血液が混入し、精液が赤色調を示す状態のことを指します。
検査をしても原因がはっきりしない特発性とされるものが多くを占め、前立腺や精嚢に存在する微小な出血と考えられます。
多くの場合は特に治療を必要としませんが、ご心配なかたは泌尿器科の受診をお勧めします。
若い方の場合、血精液症があってもパートナーへの影響はありませんが、性器の安静のために少し性交は控えた方が良いでしょう。

夜間頻尿

夜間、排尿のために1回以上起きなければならない症状を夜間頻尿といいます。加齢とともに頻度が高くなります。夜間頻尿は、日常⽣活において支障度の高い(困る)症状です。

過活動膀胱、腹圧性尿失禁

何回もトイレに行く、急に尿がしたくなりトイレに駆け込む、トイレまで我慢できず漏れるといった症状は過活動膀胱が疑われます。一方、お腹に力を入れるときや、笑った時に尿が漏れるという症状は腹圧性尿失禁といい、過活動膀胱とは治療法、治療に用いる薬が異なります。

前立腺肥大症

中高年男性に頻発する病気として前立腺肥大症があり、前立腺が肥大することで、尿の勢いが悪くなり、時間がかかる、頻尿、残尿感がある、キレが悪くちょい漏れするといった症状がでてきます。

おねしょ(夜尿症)

おねしょ(夜尿症)とは医学的には、5歳以上1か月に1回以上の頻度で3か月以上おねしょが続くことをいいます。
7歳でもおねしょをする子は10%程度いて、その後は年間15%ずつ自然に治るとされます。ほとんどは成人までに改善します。

小学校に入っても夜尿症が治らない場合は、小児科あるいは泌尿器科を受診することをお勧めします。
生活習慣指導や内服治療を行います。

副院長中西雄亮

腎・泌尿器科担当

中西雄亮 
泌尿器科専門医